理事長方針

第69代理事長

菊池友亨

はじめに

青年にポジティブチェンジの機会を提供し、

くしろから世界まで 明るく豊かに!

 

 「志を同じうする者、相集い、力を合わせ、青年としての英知と勇気と情熱をもって、明るい豊かな社会を築き上げよう!」実に68年もの間、私たち青年会議所は絶やすことなく、くしろのまちを明るい豊かなものとし、人々がより良く住み暮らしていけるよう運動を展開してきた。先輩諸氏の皆様が熱き志を胸に一致団結して行動し、その時代時代の社会情勢に照らして問題を課題と捉え、そのときの解決策を提示して今がある。

 

 私たちJAYCEEは、本年も志を引継ぎ、より良いくしろを目指して率先して行動すべきと考える。ところで現在、私たちの解決すべきくしろの真の問題というのはどこにあるのか、そしてどのように解決されるべきなのか。消滅可能性都市、格差社会、少子高齢化、人口流出など単純化されたワードはあるが、私たちの大多数はとりたてて生活に困っているわけでもなく、本当に解決すべき問題がどこにあるのか、とても見えづらい。そこで、本年は社会の2つの大きな潮流に着眼したい。

 

 一つは、社会がここ数年とてつもないスピードで変化しているということだ。不安定で、不確実で、複雑で、曖昧になっているという、「社会のVUCA化」といわれる現象が、どんどん加速している。人工知能や遺伝子操作など新しい可能性や問題が次々出てきて、私たちの未来はどうなるのか予測不可能だ。社会のルールはそれに追いつかず、当たり前だったものが通用しない世の中となり、人もまちも大きく影響を受けている。またITや高速通信環境が発展し、私たちはインターネットを通してどこにいても必要なものが手に入る、物質的にかつて無いほど豊かな生活が送れる時代になっているが、一方で不自由していない状況のはずなのに、私たちのまわりには不幸が絶えない。このような社会において、明るく豊かな社会であるために何を問題とすべきなのか。高度なテクノロジーを手にし、変化が激しいダイバーシティな未来の社会において、私たちは改めて合理性の中で失われつつある人間として豊かさとは何かを見つめなおす必要がある。論理だけではなく感性を、ルールだけではなく社会にあるべき倫理、美しさ、規範を、なにより人間とは何か、人生とは何かを大事にすることが必要になるのだ。

 

 もう一つは、世界の「持続可能性」だ。資本主義経済下での大量生産・大量消費社会を経て、このままでは世界はこの負荷に耐えられず限界を迎える。「持続可能」にするにはどのようにすべきか、それがこれからの世界の「ルール」であり、私たちのこれからの如何なる活動・運動の場面でも強く問われるだろう。また、持続可能性の解決には枠組みを超えた連携やイノベーションを巻き起こす要素もあり、世界にも私たちにも様々な面でプラスに作用するのは確実だ。世界に視点を移さずとも、くしろが持続可能かどうかを考えたとき、温暖化、エネルギー問題、漁業資源、環境問題、格差、少子高齢化といった様々な事象が私たちの生活に直接的に問題を生じさせていると誰もが感じとれるだろう。

 

 このような視点に立つと、明るい豊かな社会を実現するために、今私たちがすべきことが明確になる。私たちは、変化の激しい社会において人々の質的な生活向上を目指し、社会を構成する如何なる人も幸せに生活できるように働きかける必要があるのだ。物質で溢れた社会においては、JC自体も「モノ」よりも「意味」や「価値」を生み出せる団体でなくては、共感と信頼を得られず、市民とともに運動することが不可能となる。JCとしてのアイデンティティをしっかり持ちつつ、社会の変容とともに新しい価値観を取り入れながら、次なる明るい豊かなくしろのまちを目指して運動を展開しよう。

 

しなやかなで強固な組織運営

 私たちが日々活動・運動を効果的に行うためには、確実な組織運営が必要不可欠である。諸会議の運営、財務計画と運営管理、資料や活動・運動の記録保存並びに周知、渉外活動など、組織のために行うべきことは多岐に渡る。その際に大切なのは、効率だけを求めてただ決まったことを例年と同じようにやることに終始するのではなく、「何のために」「誰のために」行うのか、そして「どのように行うべきか」を考えることだ。組織内外の環境は常に変化している。組織が円滑に機能するよう常に先手を打ち、当たり前のことを当たり前のように行うのはもちろんのこと、環境変化の中で目的達成のためにどのように行うべきかを構想してより効果的な手法を考え出すことも必要だ。時代とともに進化する、しなやかで強固な組織の運営を目指したい。

 

組織的運動としての「会員拡大」と「アカデミー育成」

 会員拡大は「活動」ではなく、「運動」である。個々がバラバラに勧誘するのでは効果が上がらず、拡大はうまくいかないし、ただ「しなくてはならないから」という目的観では、拡大のモチベーションは上がらず、組織的な運動として展開することは不可能だ。トップがビジョンを示し、一人ひとりが明確な目的意識を持ち、行動すべきことを共有し、全員で行動することが拡大成功への確かな道筋であり、そのためには実行のための計画とそれに沿った組織的行動が必要となる。またアカデミー育成に関しても同様である。メンバーが減少する中で、今までのシステムでは十分に機能しない。新たな仲間を迎え、次を担うJAYCEEとなるべく成長の機会を提供するためには、組織としてのビジョンと目的を明確にし、計画を立てて全体的な行動を起こすべきだ。それが、次につながる未来の力強い推進力となる。

 

次代のリーダーは如何にあるべきか

 JCはリーダーシップとマネジメントを学ぶにあたり、最高のオン・ザ・ジョブ・トレーニングだと考える。ビジョン達成のために、価値観も能力も違う各々が組織の中でそれぞれの役割を果たしていく過程において、現実世界を舞台に様々な学びを得ることができるからだ。このJCのトレーニングとしての効用を余すことなく得るためには、まずその根源たる「JCとは何か」というアイデンティティを理解する必要があるだろう。さらには、JCで得られるリーダーとしての素養の上に、これからの社会で必要となるべき要素を重ねることが出来れば、次代の先頭に立つ地域のリーダーへと成長できるだろう。くしろの発展のために、学びの機会を創出し、未来を切り拓くリーダーをJCから多く輩出していきたい。

 

持続可能な社会づくりから都市の発展へ

 誰一人取り残さない社会を目指して世界が取り組んでいるSDGsは、世界規模の解決すべき共通の目標であり、その課題解決はビジネスにつながるチャンスにもなる。「世界を持続可能にするために」と考えたとき、くしろに住み暮らす私たちは何ができるだろうか。世界を構成するのは地域であり、海洋、エネルギー、紙パルプを基幹産業とし、豊かな自然環境のもとで観光産業にも取り組む私たちのまちも、足元を見れば様々な問題があるはずだ。まずはSDGsの理念のもと、青年経済人たる私たちが先駆けてくしろのまちから持続可能性をテーマに問題を探り出し、課題解決へ向けて連携を組み、実効的な取り組みを行うことが必要であり、その課題解決への熱意と行動が、地域内外の共感とより広い運動、さらには新しい地域ビジネスの可能性へとつながり、次のくしろの発展可能性を示すことができるだろう。「社会を良くして、経済を良くする。」くしろのために率先して取り組みたい。

 

面白い未来を自ら創る青少年の育成を

 「面白きこともなき世を面白く、すみなすものは心なりけり。」

 地域の未来をつくるのは次を担う子供たちであり、彼ら・彼女らがより良い未来を創れるようになるかどうかは、私たち大人が何を与えてあげられるかによるだろう。子供たちに社会を生き抜く力が求められている今だからこそ、子供と大人が一緒になって、社会に触れながらまちの問題を探し出し、柔軟な発想で課題を解決し、面白いくしろを創りだす、そのような場を提供したい。学校とは違い、社会には正解が無い。そしてそこにいるのは、自分たちと異なる年齢・価値観・境遇の人たちだ。「共創」を通してそのような場に多く触れる経験が、子供たちを自ら考え行動する未来の人財に成長させるだろう。未来を変える経験を得た彼ら・彼女らが、将来自発的にくしろのまちをポジティブに変えてくれれば、ワクワクするくしろがやってくる。

 

最高のチームを形成せよ

 チームとして機能することで、組織は初めて最高のパフォーマンスを発揮する。LOMを構成する私たちメンバーは、元々がバラバラな個人の寄せ集めである。組織としてのビジョン達成のためには、単なる寄せ集めである「グループ」から、目的を共有し、お互いを信頼し、集団的モチベーションの高い「チーム」へと変化する必要があるのだ。またそれは組織内に留まらず、私たちが敬愛してやまない先輩諸氏の皆様、日々の活動に快く送り出してくださる家庭や職場の皆様、日常的にご協力いただく関係諸団体の皆様、志を同じくする各地青年会議所メンバーの皆様とも、心を通わせ緊密なつながりを築き、陰日向よりご協力いただくことで、さらにチームは力を発揮することができるだろう。明るい豊かな社会の実現のために、学び得たチーム理論を応用しながら、敬意と感謝と情熱をもって個々の心を連結させ、釧路JCを最高のチームに高めよう。

 

小さな挑戦がミライをつくる

 次代の釧路JCとは、どのようなものだろうか。より良いくしろの未来を目指す私たちは、理想を掲げ、より良いJCの姿と、次の社会を見据えた意識変革運動に挑戦すべきと考える。社会が変容し、多様性が求められる中で、パターン化されたものは必ずしも解決策とならないだろう。JCの理念に基づき、あるべき理想を掲げ、多様な課題に対し今までに無い視点をもって少しだけ行動を起こしてみることで、未来に適合し、社会からより共感を得られる運動を行う組織になるであろうし、短期的には不要に思えても、中長期的視点をもって小さなトライを積み重ね、失敗の中からセレンディピティが得られれば、私たちは少しだけ未来へと進むだろう。挑戦がなければ何も生まれない。やがてくる創立70周年も踏まえて、私たちは今、釧路JCの原点を見つめ直し、目指すべき未来ビジョンに向けて、社会の変容の中で小さくも意図ある変化の挑戦を積み重ねよう。

 

最後に

 まちは移り変わる。私が小さい頃教科書に載っていた漁獲量日本一のまちくしろも、炭鉱のまちくしろも、紙パルプのまちくしろも、今はそれだけのインパクトは無い。ただ、同じまちは今、観光都市くしろ、港湾都市くしろとして新しい様相を見せている。それは、自然とそのように変化してきたわけではなく、時代的・外部的要因と、そこに住み暮らす「人」の手によって、まちは否応無く変化してきたのだ。

 そのような中で、我が団体を顧みる。釧路青年会議所は何のための団体なのか。戦後間もなく創立された我が団体。「JCしか無い時代」からその後様々な団体が設立され、今や「JCもある時代」だという人もいる。しかし私は、今の時代においてもJCの必要性を強く感じている。明るい豊かな社会の創造を目指して活動・運動するまちづくり・ひとづくりの青年団体、修練・奉仕・友情の三信条を胸に、共に切磋琢磨し成長していく団体が私たちである。そのことに加えて、私が思うJCの団体的価値は、まちに、ひとに、「ポジティブチェンジ」を与えていくということではないかと考える。今は、個人が活躍する時代である。まちのために考えて活動する人、団体も他に少なからず存在する。しかし、私たちが決定的に違うのは、「ポジティブチェンジ」、つまり市民の意識をポジティブに変革する運動を行っているという点ではないだろうか。意識の高い限られた人たちだけがまちを変えるのではない。「くしろは何も無いまちだ。」「誰か何とかしてくれないものか。」そのような多数の無関心な市民の意識を、ポジティブに変えるきっかけをつくる。共感とともに行動する市民が現れ、その流れが連鎖して地域全体に波及されれば、まちにはくしろの未来を考え、自発的に行動する市民で溢れ、将来にわたってまちをより良く変化させていくだろう。誰一人置いていかれることなく、皆が幸せに暮らせるまち。それを「アクティブシティズン」となった市民が自ら作り出せるようになるのが、私たちの目指す明るい豊かな社会なのではないだろうか。そのような社会を、私は目指したい。それを行えるのは、「ポジティブチェンジ」を使命とする、私たち釧路青年会議所だと信じている。

 

「雪に耐えて梅花麗し」

 

 今、私たちが当たり前のように歩いている道も、かつて誰かが想いをもって、多大な労力をかけて切り拓いたものである。たくさん苦労があっただろうが、今となっては、それは見えない。今、そこにあるのは、その道を自由に行き交う私たちの姿であり、それはかつて誰かがが想い描いていたものだろう。私たちも、まだ見ぬ未来のために、次を生きる子供たちのために、また想いを紡ぎ、仲間とともに道を切り拓こう。