
理事長方針
第74代 理事長
星野 敦生
【はじめに】
釧路青年会議所が創立されて70余年が経ち、先人たちの想いと努力によって築き上げられた地域の中で私たちは今を生きている。なぜ70余年という永きに亘る歴史を築き、地域社会を変えてこ られたのか。 私たちは今一度ルーツを知る必要がある。 1952 年に創立された釧路青年会議所は日本青年会議所の創始の理念である新日本の再建の元、 戦後の復興を夢見て運動を展開してきた。 しかし、まちづくりとはすぐに結果が出るものではない。 苦労の果てに成し遂げられたこと、 成し遂げられなかったこともあるだろう。 全てを含めた中で、 人から人へと地域に懸けた想いを連綿と紡ぎ、 少しずつ地域を発展させ、 今の私たちが存在するのである。 見慣れたまち並みも決して当たり前と思ってはいけない。 そこには人の想いが存在している。 地域とは人の想いの結晶なのだから。
【まちづくり】
私たちは今を生きる者として誰かが変えてくれるのを待つのではなく、 変えるという意識を強く持たなくてはならない。 その点で重要となるのがビジョンである。 どのような地域社会が理想と言えるのかを明確にすることから始める必要がある。地域には多くの課題が混在している。しかし、我々青年 会議所は目の前の地域課題を解決することが目的ではない。ビジョンからのバックキャスティングでプロセスを構築し、 本質的な問題解決を通じて地域社会を開発していくことが青年会議所のまちづくりであり、運動である。 目の前の課題に捉われず、 自らが描いた理想の社会の姿から本質的な課題を見定め、先を見据えた希望ある地域社会を開発する運動を展開していこう。
【ひとづくり】
青年会議所のアイデンティティとも言えるのがひとづくりであると考える。 変化する時代の環境の中でひとづくりのプロセスも変化しているが、 自分に関すること以外に対して関心度が低くなっている現状が見受けられる。 これは LOM という単位でも自分事と紐づけられていない状況も含めたことを指す。ひとづくりとは自己成長は勿論、 メンバーの成長の機会を提供することも対象であると認識している中で、 担いを与えるだけではなく、 仲間と時間を共有することも大切だ。 例を挙げるとするのであれば、 出向関係や担当例会以外での出席率である。 メンバーの成果を見ることもメンバーにとってはモチベーションの向上にも繋がり次に活きてくるとともに、 自身にとっての気付きに繋がる部分もあるはずだ。 互いに思いやりを持つこともひとづくりにおいて大切なプロセスの1つであることを 全てのメンバーで共有して一段上のひとづくりを展開していこう。
【牽引する運営】
青年会議所の活動運動に欠かすことのできない組織の1つが総務である。 諸会議の運営、 財務 計画を始め、 全体の運営管理、 会議資料の管理、 渉外がある中で、 LOM の下支えというイメージを 持つことが多い。 会議の設えや議事録作成など決められた業務ではあるが、何よりも総務が存在しなければ、 私たちは思うように活動運動をすることができないのである。 故に総務が先導となって各委員会をリードする存在だと考える。諸会議や運営面のみならず渉外関係における各種取りまとめなど、あらゆる場面でも独自の目線で組織の効率化だけではなく、効果を求めた組織運営を展開していこう。 一方通行の連絡で終わらないよう、委員会同士の連携から参加意欲に繋げていこう。
【 LOMの調和】
青年会議所の活動運動は常に組織単位で行うことが基本とされている。 個人では行えないような大規模な活動運動も仲間と協力をし合って物事を進めていくことが成功に繋がるからだ。 しかし、メ ンバー同士は利害関係のない個人の集まりである。 利害関係のない個の集団を組織として成り立たせるには、 目的の共有だけではなく互いを思いやることのできる心の醸成が必要だ。 個性溢れるメンバーが多く存在する中、 調和の取れた LOM の推進力は地域の発展に大きく寄与するものと確信している。 さらに自身の家族や職場の方々、 先輩諸氏がいるからこそ私たちは全力で前進できていることに感謝をしなければならない。 心からの「ありがとう」を言い合える関係性を築き、 LOMの調和から未来を変えていこう。
【仲間と共に乗り越える喜び】
青年会議所に入会して誰もが経験する役職がアカデミーである。アカデミーの育成は未来の LOM にとって重要な役割を持ち、 無くてはならない組織の 1 つと言えよう。アカデミーとしての自己成長が求められる中、 スピーチやプレゼン、 例会構築など JAYCEE として必要な能力があり、 1 年間を通して多くの成長の機会を提供していくことに間違いはない。 しかし、 個人の能力向上に特化した育成のみならず、同期入会の仲間と共に多くの達成感を共有してほしい。なぜなら同期の仲間だけで共に活動できるのはこの 1 年間しかないからだ。同じ境遇に立っているからこそ仲間意識がより一層高まると同時に、 今後の活動運動の原動力に繋がる、まさに JAYCEE としてのオリジンとなる瞬間がこのアカデミーである。仲間と共に乗り越え喜び合える機会を提供していこう。
【交流型観光の確立へ】
2024 年 6 月、 釧路青年会議所は釧路市と Airbnb Japan 株式会社との包括連携協定を締結した。 これは 2024 年度の活動運動の中で行った交流型観光を通じて、 持続可能な地域経済の活性化を 図ることを目的とした取り組みの 1 つである。 この交流型観光をくしろ地域における新たな観光のカタチとして地域コミュニティが主体的・自律的な観光発展を遂げることのできる仕組みが必要だ。 この仕組みには地域住民主体の行動が必然となり、 行動の原動力として経済的なメリットを打ち出す必要がある。民間事業者としてもそこにビジネスチャンスを感じ取れなければ実際の動き出しができないからである。地域コミュニティを主軸とした経済的発展の可能性を秘めたモデルケースを創出し、交流型観光確立に向けてチャレンジをしていこう。
【教育連携協定のステップアップ】
2018 年 12 月、 私たちは釧路市教育委員会との教育連携協定を締結した。 この協定では、 発達に応じた系統的なキャリア教育の推進、 社会で自立的に生きるための基礎となる家庭教育の教育力向上、 成長や自立を支援する地域の教育力の向上という、 学校、 家庭、 地域の 3 つの教育力向上 に努めるというものだ。早くも締結から 6 年が経ち、 振り返ると毎年学校のキャリア教育は行っているものの、 その他は未だ協定を活かされていない状況である。 今後、 教育機関との連携で子どもたちを共に育んでいく「共育」の確立から、 子どもたちが持つ好奇心を自身の活動体験へと繋げ、 全力でトライできる環境を創出することが重要となる。この共育環境の創出こそが、子どもたちの将来的な主体性を育むことに直結するはずである。 教育連携協定のステップアップから確かな担い手を育成し続けられる共育でくしろ地域の未来を切り拓いていこう。
【 JCのブランディング強化】
私たちは自分たちが思っている程、 認知されていない。 拡大運動を通じて対象者と会話する中で感じる部分である。 それでもメンバーの拡大意識の持続化から拡大運動は常に行わなければならない。 会員拡大は青年会議所の目的である明るい豊かな社会の実現になくてはならない運動だからである。同時に日々の拡大を続けながらもブランディング強化を図る必要がある。その入り口は知るというところから始まるのであろう。 釧路青年会議所とは何のためにどのような活動を行い、 ここくしろ地域にどのような効果を寄与しているのか。 単なる告知・結果報告の発信ではなく、 広報目的から戦略を兼ねた広報発信をすることが重要である。 さらにはくしろ地域に対して私たちの活動運動の成果を大きく発信する機会の創出が必要と考える。 地域にインパクトを与え、 私たちの存在を大きく発信し、ブランディングに繋げていこう。
【メンバーシップ】
釧路青年会議所からも毎年多くの出向者を輩出している。 普段の LOM の活動運動とは違い、日本、北海道という立場から明るい豊かな社会の創造に向けた取り組みを行っている。これは LOM にとっても有益であり、より高い視座から自分たちの地域を俯瞰的に見ることで、内側からでは気付けない視点を得ることにも繋がる。 日本、 北海道、 そして LOM に対して出向者としての役割を果たし、 各組織に貢献できるよう一人ひとりがメンバーシップを持ち合わせ、 新しいフィールドでチャレンジをしていこう。 さらに、出向していないメンバーについても、出向者支援もメンバーシップであることを認識した上で、 現地に赴き、 出向者の成果から多くを学び得て、最大限の労いを通じてフォローできる環境を創出していこう。
【終わりに】
誰もが初めて経験することに対しては臆することがあって当たり前である。私たち一人ひとりは決して強くはないのだから。 だからこそ仲間の存在が頼もしく感じるのだ。 自分が困難な時は仲間を頼ればいい。仲間が困難な時には自分を頼ってくれればいい。私たちは何の利害関係もない集団だ。 だからこそ青年会議所とは「心」で動く組織だと感じている。 他者を想い、 地域を想う。 自分自身の動機なんてそれだけで十分ではないだろうか。私たちはメリットを求める団体ではなく、メリットを与え続ける団体なのである。その心をここくしろ地域にも広げていこう。次代を生きる人たちのために。