理事長方針

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第71代 理事長
島本 勇平

 【はじめに】

 「風が吹けば桶屋が儲かる」という、日本のことわざがある。これは経営戦略策定をする上で有名なことわざである。ある事象の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶ事の喩えであり、連想力・情報を読み解きする理解力・先見力が、時代の波を掴まえる事に繋がる。今、私達の周りは地球規模で旋風が巻き起こり、観光業を始め、建設業・製造業・飲食業・その他にも多くの業種と、我々の生活にも大きな打撃を与えた。逆に、ネット通販・デリバリー等が増え、宅配の職種が需要増や、IT業界はテレワークの活用でワーケーション等の働き方改革への対応を求められるなど、「風が吹けば・・・・」の通り、経済の影響は、良くも悪くも、巡って我々のところにもやってきている。

 今、間違いなく、新たな時代のスタートラインに我々は立っている。日本青年会議所の創始の理念でもある「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という思いで、戦後の復興を、先人たちが率先垂範して今日の礎を築き、本年70周年を迎える釧路青年会議所も先輩諸氏が、戦後から現代までの間、様々な課題と真摯に向き合い、歯を食いしばりながらこの地域を前に推し進めていただいた。当時と状況も意味合いも違うが、今まさに、世界が再建のために、試行錯誤を重ねている。我々も青年経済人として積極的に未来を考え、先を読み、地域との連携の中で、このくしろ地域再建のため、自分ではない誰かのために、自分に何ができるかを考え、計画をして行動を起こしていこう。

 時代が大きく変化する時には、いつの時代も悪い流れから始まり、その後にもがき苦しみながら、新たなものが育っていく。変化と向き合う事で、ピンチはチャンスとなる。

 

青年らしさを発揮して、新しいこの時代の、明るく豊かな社会の創造のために、過去に先輩諸氏が 見せてくれた姿を今度は我々が見せる番だ。

【既成概念の払拭】

 カマス理論という心理学の実験がある。水槽の中にいるカマスに餌を入れると、普通に食べる事ができるが、中にガラスの仕切りを入れて、餌を食べられないようにすると、カマスは、餌を食べる事を諦めて、仕切りを取り除いた後でさえ、”もう餌を食べられない”という思い込みから、餌を食べに行かずに段々と弱っていく。どうしたら、このカマスはもう一度餌は食べられる事ができるのか。それは、「別のカマスを水槽に入れる」事だ。既成概念を持たず、餌を食べるカマスを見て、元々いたカマスは、思い込みから解放され、再び餌を食べるようになるという話だ。

 これは既成概念から、思い込みや偏見が招く人間の心理状況を可視化した実験であるが、実際我々はこれに悩まされている。何かを始める前に「絶対無理だ」「やめておいた方がいい」そんなネガティブワードを並べられ、昔ながらのルール・習慣・慣例が原因で、見えない何かに阻まれる事は多くある。大きな時代の変化に立たされている我々に一番不要なものは「既成概念」だ。習慣でやっている事でも、何故今までやってきたのかを考えてみよう。そして、変革や新たな方法を考え挑戦をしよう。この一年をかけて、自分たちの可能性に蓋をせず、この先の未来をしっかりと描き、アイデアを出し合い、これからの道を自分たちで選択し、誰も過ごした事のないこの時代を生き抜くために「既成概念」と「どうせ無理だ」を払拭しよう。

我々ならば必ずやり遂げるし、我々の前には見えない仕切られた板はない。

【運営】

 組織を円滑に回すために最重要なのは総務である。組織の活性化や事業の質を高めるために、意見を出しやすい環境を整備し、その整備された場で課題解決のために様々な意見を出し合う、意思決定機関である諸会議を、時間を有効活用する事と、規律を大切にして運営をしてもらいたい。また、既存の方法や習慣・慣例にとらわれる事無く、環境変化に対応する場面には必ず直面する。「何のために行うのか」に重点を置き柔軟な対応と、先を読み、確度を高めた運営を目指してほしい。

【仲間意識】

 友情を育み、人間関係や事業を、円滑に進めていく上で必要なのは、我々の伝統でもある「労い」である。しかし、単純に労うのではなく、仲間を想い・何に対しての労いなのかを理解し、考え行動する事が、本当の意味で労苦に報いる事になる。仲間の心が動かされる位の最高の労いにしてほしい。また、我々が日々活動できているのは、家族・会社の皆様・対外関係者の皆様・日頃より気にかけていただいている、シニアクラブの皆様のお陰という事を忘れずに、感謝と真摯な姿勢を常に見せてほしい。

 そして、メンバー数の減少が課題としてあげられているが、今困難に直面しているメンバーにも目を向けてほしい。何が問題なのか、立ち止まっている人がいるならば、解決のために「だったらこうしてみよう」「こうしてみたらどうだろう」と手を差し伸べてもらいたい。これはアカデミー育成の面でも大事な事である。しっかりと活動・運動の意味を理解して参画を促し、多くの濃厚な経験をしてもらう中で、様々な壁に当たってもらう事が、人の成長にとって大切な事だが、壁にぶつかった時に手を差し伸べる事は、差し伸べられる・差し伸べる両者の成長につながり、それぞれの役割をどう全うするかを考え行動して仲間意識を高めてほしい。

【未来のカタチ】

 今くしろ地域は、以前の基幹産業が衰退の一途を辿っている事は、客観的に見ても事実である。この地域の未来を誰もが描ける様に可視化され、「風が吹けば・・・」のように、何手もの先を読み、SDGsを掲げる団体としての責任を持ち、持続的に経済に好循環を与える、この地域にあった循環型経済を様々な視点から考えてみよう。多様化を軸としている新たな時代で、どこかと同じような事例をただ真似るのではなく、この地域の特色や可能性をよく視てほしい。新たな時代は様々な産業が地方都市の発展可能性に目を向けて動き出している。実現可能な事を検討し多くの機関や企業・団体を巻き込もう、その行動で必ずくしろ地域に明るい新たな可能性を示す産業が創出されるはずだ。

【過去との対峙】

 我々は要望書・提言書を出すだけの団体ではない。要はそれを目標としてはほしくはない。結果的にその気持ちは、思い通り相手に伝わってしまうし、誤認を生む可能性もある。そして「過去から学ぶ」事の重要性を実際に感じてもらいたい。先輩諸氏が、単年度制の枠組みの中で果敢に挑戦し、悔しい思いや素晴らしい経験をした事業から積み重ねた努力の結晶を学び、過去と真剣に対峙し、過去の事業を現代と照らし合わせ、組み合わせた時、未来を見据えて検証と実現可能なためにどう行動するかを考えて、過去と今、そして未来を繋ぐ架け橋になってほしい。

【会員拡大】

 新たな時代に立ち向かうために大切なのは、本気でまちづくり・ひとづくりについて語り合い、ともに行動できる仲間を増やしていく事だ。しかし【仲間意識】で記述したように内面の課題を解決し、対内外的に魅力溢れる団体にして行く事が、拡大運動をしていく上でも、我々の熱意が伝わり、人の心は動かされるのだと思う。青年会議所での、2度と戻らない時間を過ごす中で、組織維持だけの拡大ではなく、切磋琢磨できる多くの仲間を増やす運動を展開してほしい。

【70周年】

 創立70周年の大きな節目を迎える本年、ここまで先輩諸氏が関係諸団体、地域の皆様とともに、その時代にあった地域の課題解決に多くの同志と取り組まれ、実績と伝統を築いていただいた。関わりあるすべての人に感謝と敬意を伝える洗練された場を作り、目的意識を明確にした、地域のために、時代に合ったカタチを残したい。

伝統は変わらない事ではなく、思想や哲学を理解し継承しながら、伝統は自分たちの手で新たに付け加えて行くものだと思う。

【おわりに】

 一見「自分たちには関係ない」様に感じていた事で世界が一変し、我々の住み暮らすこの街も大きな変化を余儀なくされている。しかし、時代の流れに関係ないような情報に、差別化していくヒントがいつも隠れている。窮地に陥った時に人間の真価は問われるなかで、色々な情報を、ただ流して聞くのではなく、何が適応するかと考える事が、この地域のためや自分自身のためになる。

 今までの状況は、冷静に環境を見渡し自分ができる事・この団体の意義を考えるチャンスだったのだと思う。大きな時代の変化の中で、我々の使命の1つである「不特定多数の利益を生み出す事」を忘れず、自分ではない誰かのために、自分に何ができるかを考えて、決意と熱意を持ち、そして人を想って取り組めば、必ず物事は前に進むと確信している。

さあ、恐れず未来のために前へ進もう。